ある日、会社に能セン(資格合格支援スクール)のチラシが届きました。「電験三種 受験対策講習会」。上司に相談したら「受けてみるか」となり、会社の経費で受講することになった——そんな経緯で能センの電験三種講座を実際に受講した経験を、正直に書きます。
先に結論です。
- 「何から手を付ければいいか分からない」段階の人には価値がある。テキストに沿って進む形式なので、学習の道筋が一本できる
- ただし「傾向と対策」の的中率に過度な期待は禁物。ヤマ当て講座ではない
- 私は受講した年に合格できたのは1科目だけ(確か機械だったと記憶しています)。合格したのは翌年で、「能センのおかげで合格した」とは言い切れない——これが偽らざる実感です
同じように「会社にチラシが届いて受講を迷っている」人に向けて、受講して分かったことを書いていきます。
能センとはどんなスクールか
能センは株式会社NOUSEN(東京都練馬区)が運営する資格講習スクールです。前身の「株式会社能力開発研修センター」は1983年設立で、2023年に現在の社名に変わりました。40年以上、電験や施工管理などの技術系国家資格の講習会をやってきた老舗です。「能セン」の名前は旧社名の略から来ています。
電験三種向けの講座は3つの形式があります(2026年7月時点・公式サイト確認)。
| 形式 | 内容 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 通学講習会 | 東京・港区の会場で対面授業(週末開講) | 全科目セット(10日間)143,000円 |
| オンライン講座 | 動画配信・24時間視聴(視聴期間18ヶ月) | 全科目セット 133,000円 |
| 通信講座 | 教材ベースの自宅学習+添削課題 | 科目別 29,700円〜 |
教材は講師が執筆したオリジナルテキストで、過去15年分の問題と出題傾向の分析資料が付きます。※料金・内容は私の受講当時とは変わっている可能性があります。最新情報は公式サイトで確認してください。
受講のきっかけ:会社に届いた1枚のチラシ
能センは会社宛のチラシ営業を昔からやっていて、電気設備に関わる会社なら見覚えがある人も多いはずです。うちの会社にも届きました。
当時の私は電験三種の勉強を始めたばかりで、正直、何から手を付ければいいのか分かっていませんでした。理論からやるべきなのか、過去問をいきなり回すべきなのか、そもそも自分の数学力で足りるのか。そんなタイミングでチラシが届き、会社の経費で受講できることになったので、断る理由はありませんでした。
自腹で10万円以上を払うかと聞かれたら悩んだと思いますが、会社負担なら話は別です。資格取得支援の制度がある会社なら、まず総務や上司に「この講習、会社で出せませんか」と聞いてみる価値はあります。
講座の実際:テキストに沿って淡々と進む
講座はオリジナルテキストに沿って、基礎から順番に進んでいきます。派手さはありません。良くも悪くも「テキストベース」です。
ただ、これが独学と決定的に違う点がひとつあります。「今日はここをやる」「次はここ」という順番を、自分で考えなくていいことです。
電験三種の独学で一番消耗するのは、実は勉強そのものよりも「何をどの順番でやるか」を試行錯誤する部分だと私は思っています。市販の参考書は山ほどあり、ネットには勉強法の情報が溢れていて、初学者ほど迷子になります。講座に乗っかると、この迷いが消えます。決められたレールの上を走るだけになるので、勉強のエネルギーを勉強本体に使えます。
良かった点:学習の「道筋」ができる
- 何から手を付けるか迷わなくなる——初学者にとって最大の価値。基礎数学から順に積み上げる構成なので、数学に不安がある人でも入口でつまずきにくい
- ペースメーカーになる——講座の進行に合わせて勉強する習慣ができる。独学だと「今週は忙しかったから」で簡単に止まる
- 過去問と傾向分析がセットになっている——過去15年分の問題と分析資料が手に入るので、教材を買い集める手間が省ける
微妙だった点:「傾向と対策」の的中率は過信しないほうがいい
講座には出題傾向を分析した「傾向と対策」的なパートがあります。ここに期待して受講する人もいると思うので、正直に書きます。
私が受験した年に関しては、的中率が高いとは感じませんでした。
これは能センが悪いというより、電験三種という試験の性質だと思います。出題範囲が広く、近年は問題の傾向も変化していて、ヤマを張って当てられるような試験ではありません。傾向分析は「頻出分野に勉強時間を配分するための地図」として使うもので、「ここだけやれば受かる」という魔法ではない——そう割り切って使うのが正解です。
で、合格できたのか:受講年は1科目、合格は翌年
肝心の結果です。受講した年に合格できたのは1科目だけでした(確か機械だったと記憶しています)。電験三種には科目合格制度があるので、残りの科目を翌年以降に持ち越し、合格したのは翌年です。
だから「能センを受ければ受かる」とは書きません。書けません。講座で作った基礎が翌年の合格に効いた実感はありますが、それを切り分けて証明することは誰にもできないからです。
ただ、これだけは言えます。電験三種は合格率10%台の試験で、一発合格のほうが少数派です。科目合格を積み上げて2〜3年で取るのはごく普通のルートで、受講した年に1科目でも取れたなら、講座代の元は取れていると私は思います。
おすすめできる人・できない人
おすすめできる人
- 何から勉強すればいいか分からない初学者(最大の受益者)
- 会社に資格取得支援制度があり、経費や補助で受講できる人
- 独学で一度挫折して、ペースメーカーが欲しい人
おすすめできない人
- すでに自分の勉強の型がある人(独学で十分です)
- 「傾向と対策」のヤマ当てに期待する人(そういう講座ではない)
- 受講しただけで受かると思っている人(結局は過去問演習の量です)
よくある質問
Q. 能センの講座は初心者でもついていけますか?
A. テキストに沿って基礎数学から順に進む構成なので、むしろ「何から手を付ければいいか分からない」段階の人にこそ向いています。すでに勉強の型がある中級者には物足りない可能性があります。
Q. 会社経由で申し込む場合と個人申込で違いはありますか?
A. 講座の中身は同じで、主な違いは申込・支払いの手続きです。能センは会社宛のチラシ営業を行っており法人経由の受講が多いスクールなので、会社に資格取得支援制度があるならまず会社負担で受講できないか確認するのがおすすめです。
Q. 能センだけで電験三種に合格できますか?
A. 私自身は受講年に1科目合格、翌年に合格しました。講座は学習の道筋を作ってくれますが、合格を決めるのは最終的に過去問演習の量です。講座+過去問の併用が前提と考えてください。
Q. 「傾向と対策」はどのくらい当たりますか?
A. 私の受験年については、的中率が高いとは感じませんでした。頻出分野に勉強時間を配分するための地図として使うのが正しい活用法で、ヤマ当てを期待するものではありません。
まとめ:道筋を買う講座。ヤマを買う講座ではない
能センの電験三種講座は、「学習の道筋」を買う講座です。何から手を付けるか分からない初学者が、迷いを捨てて勉強本体に集中できるようになる——その価値は確かにありました。一方で、傾向対策のヤマ当てを期待して受講すると肩透かしを食うと思います。
会社にチラシが届いているなら、まず会社負担で受講できないか確認を。自腹で受講を検討している人は、公式サイトで最新の料金と日程を確認したうえで、「自分は道筋が欲しいのか、ヤマが欲しいのか」を自問してから決めてください。
この記事を書いた人:電験三種・エネルギー管理士(電気)・1級電気工事施工管理技士・1級電気通信工事施工管理技士・第一種電気工事士・消防設備士(甲4/乙7)を保有する現役の電気系エンジニアです。詳しくは運営者情報へ。